アフターコロナで求められるマネジメントとは?

新型コロナウイルス感染防止を図るため、企業はテレワークのような「新しい働き方」を進めています。テレワークになると目の前に部下がいなくなるので、従来のマネジメントのやり方が通用しなくなります。アフターコロナにおいて、管理職はどのようにマネジメントのやり方を変えていったら良いでしょうか?アフターコロナで求められるマネジメントを解説します。

コロナ前のマネジメントとは?

新型コロナウイルス感染の影響で、ビジネスパーソンは働き方の変化を求められました。働き方の変化として、企業はリモートワーク・在宅勤務・時差出勤などを行ってきました。リモートワークと在宅勤務は管理職のマネジメントを大きく変えました。マネジメントの役割とは?コロナ前のマネジメントがどういうものだったのか?を解説します。

マネジメントの役割

マネジメントの役割とは、組織目標を設定し、組織目標を達成していくために組織・人材を動かすことをいいます。マネジメントを実行するには、管理職のように権限のある人材が行う必要があるわけです。

組織目標は管理職が闇雲に設定するものではなく、経営目標に繋がる内容となります。経営目標は年ごとに達成すべき全社の目標です。不変的な経営理念を具体化していくものと考えるとイメージしやすいのではないでしょうか。そして、経営目標を元に、事業部、部門、そして部署ごとに設定していく目標が組織目標です。

マネジメントの具体例

組織目標を達成するために管理職はマネジメントを行います。課長なら、課の目標を達成するために組織や部下を動かします。営業課を例に考えてみましょう。営業課の目標として年間受注額1億円があるとします。営業課に2人の部下がいます。課長が6,000万円、部下が2,000万円ずつの目標があります。

部下は自動的に2,000万円の受注を取ってくるでしょうか?取ってこないですよね。主体的に受注を取るためにがんばる部下もいるでしょう。年間表彰されるような営業担当者なら、自分で考えて受注を取ってくるかもしれません。しかし営業は難しいものです。市場環境の変化によって、あるいは近年の課題でいえば新型コロナウイルスの蔓延により、既存の営業手法が通用しなくなることがあります。

ですから、管理職は常に、部下に対してマネジメントを行う必要があるのです。仕事の上で不安なことはないかとヒアリングし、課題を解決の支援をしてあげます。部下が誤った方向に進んでいれば軌道修正をかけてやります。雑談の中から信頼関係を構築し、影響力を及ぼすこともマネジメントの役割です。

コロナ前のマネジメントとは?

マネジメントの具体例を確認したところで、コロナ前のマネジメントを振り返ってみましょう。コロナ前のマネジメントは、目の前に部下がいました。職場に行けばデスクの前に部下がいたので、仕事の指示をしたり、仕事の進捗状況を見たり、仕事ぶりを把握することができました。

しかし新型コロナウイルス感染防止のため、リモートワークと在宅勤務が始まりました。働き方が大きく変わったわけですね。目の前にいた部下はパソコンやタブレットの画面越しに行ってしまいました。つまりデバイスにアクセスしないと、上司は部下と会話できず、仕事ぶりを見ることができなくなったのです。コロナ前のマネジメントでは、マネジメントの役割を果たしにくくなったといえます。

アフターコロナのマネジメントとは?

コロナ前とコロナ後(アフターコロナ)では、マネジメントが変わります。ただ、変わるといっても、変更となるのはマネジメントのやり方です。コロナ前であろうとコロナ後であろうと、マネジメントの役割に変化はありません。

アフターコロナにおいては目の前に部下がいませんから、仕事ぶりを見ることはできません。相手の顔を見るコミュニケーションをすぐには取れず、チャットやメールが中心となるでしょう。アフターコロナで管理職がマネジメントすべきは「部下の成果」「部下の主体性」の2点です。

アフターコロナにおいては、成果をあげるために部下がどういう行動を取っているのか、管理職は把握できません。ですから、進捗状況や仕事ぶりをマネジメントするのではなく、成果をマネジメントすることが求められます。

成果をあげるといっても、自動的に部下が行動するわけではありません。部下が成果をあげる行動をしていくために、管理職はデバイスの画面越しに働きかける必要があります。

アフターコロナで企業が変えるべきこと4選

アフターコロナでは、管理職がマネジメントのやり方を変える必要があることが分かりました。変えるべきマネジメントは「部下の成果」「部下の主体性」です。

しかし企業が何もバックアップせずにマネジメントのやり方を変えることはできません。企業は、アフターコロナのマネジメントを管理職に担ってもらうための体制を整える必要があるのです。企業が変えるべきことを3つ紹介します。

リモートワークや在宅勤務で働ける体制の確立

新型コロナウイルスに感染しないためには、人との接触を防ぐことが大切。オフィス勤務や公共交通機関を利用した通勤のように、人と人との接触がある環境を脱し、リモートワークや在宅勤務で働ける体制を企業が確立しましょう。

いくら在宅勤務制度があっても、使っているのはわずかの社員だけという状態では、「確立されている」とはいいません。利用したい社員がいつでも利用できて、初めて確立となります。「在宅勤務制度があるけど、誰も利用していないよね」「使っているのは管理職や役員だけ」という状況では、リモートワークや在宅勤務が社内に浸透することはないでしょう。

在宅勤務制度がなければ制度を設定し、社員が円滑に利用できるように経営者や人事部が訴えかけることが必要です。そして人事部は率先して制度を活用し、社員がリモートワークや在宅勤務をしやすい環境をつくりましょう。

成果主義やジョブ型雇用制度の導入

管理職が部下の成果をマネジメントするために、成果主義やジョブ型雇用制度を導入することも検討します。成果主義は成果によって人材を評価する制度で、成果の達成度によって人材を評価します。企業によっては、成果と他の基準をミックスした評価制度を採っている場合もあります。例えば能力評価を7割、成果評価を3割というようなケースです。職位が上がるごとに成果評価の割合を高めることが一般的です。

ジョブ型雇用制度は仕事に人材を割り当てる雇用制度で、職務内容が明確に決まっています。そのため、部下が担当する職務内容が可視化され、成果も見えやすくなります。管理職が成果を評価するときにジョブ型雇用制度が適しているといえます。海外企業ではジョブ型雇用制度を導入しているので、グローバル企業にとっては国内外の雇用制度を統一化できる利点があります。

ちなみに、ジョブ型に対置する雇用制度にメンバーシップ型雇用制度があり、メンバーシップ型は日本企業に特有の雇用制度です。

ジョブ型雇用制度は成果を評価しやすい一方で、仕事がなくなったときの社員の処遇が難しくなります。なぜなら、ジョブ型雇用制度では特定の仕事を遂行する人材として社員を雇用しているからです。仕事がなくなれば、いってみれば企業では不要な人材となります。ところが日本では正社員の雇用が法律で厳格に守られているので容易に解雇できません。そのため、ローカルで展開している企業は、ロール型雇用制度の導入も検討してみましょう。

ロール型雇用制度は社員の役割を明確化する雇用制度で、職務内容を厳密に明確化することはありません。そのため、仮に事業所が閉鎖されたり、仕事で成果を出せなくなったりして「仕事がなくなった社員」に対して、仕事内容や勤務地を変えて働いてもらうことができます。ジョブ型とメンバーシップ型の中間に位置する制度がロール型雇用制度といえましょう。

人事評価制度の改定

「部下の成果」「部下の主体性」をマネジメントするため、人事評価制度を改定することが必要です。ジョブ型にしろロール型にしろ、雇用制度を変えるだけでなく評価制度も併せて改定することで、部下の成果に基づいた評価ができるようになるのです。

また、部下の主体性を引き出すために、管理職に求められる役割も変えていく必要がありそうです。管理職には、部下の主体性を引き出す働きかけをしているかどうかを問う役割を含め、主体性を引き出している管理職を高く評価する評価制度に改定するのです。

なおテレワークになると、部下が孤独に陥りやすくなり、成果をあげようとしてもうまくいかず、思うような主体性が出てこないこともあります。そのため、1on1ミーティングを取り入れ、管理職からだけでなく部下が求めることで、1対1の対話を行います。ミーティング内容は、必ずしも人事評価に含めなくて結構です。話しやすい雰囲気をつくってあげ、自室にこもっている部下の相談相手になり、主体性を引き出すことが1on1ミーティングの目的の1つです。

悩んでいること、仕事でうまくいかないこと、新しいアイディアについて、ささいなことでも構わないので1対1で話し合ってみます。管理職は自分の意見を押し付けるのではなく、傾聴し、質問を繰り出して部下の意見を引き出して下さい。そして主体性を引き出せるように対話を重ねましょう。

社員研修の刷新

雇用制度や人事評価制度の改定、そして1on1ミーティングの導入は、企業の組織風土を変える大きな人材マネジメントの変革です。変革を管理職や一般社員に浸透させるには、フレームだけを変えてもうまくいきません。社員研修を実施して、制度や1on1ミーティングといった新たな仕組みを浸透して下さい。

まとめ

アフターコロナにおいて、管理職のマネジメントのやり方は大きく変わりました。コロナ前後であっても、マネジメントの役割は変わっていないのですが、やり方が変化しています。新しいマネジメントのやり方に対応していくために、企業は管理職や一般社員をバックアップします。バックアップのためには、「テレワークで働ける体制の確立」「成果主義やジョブ型雇用制度の導入」「人事評価制度の改定」「社員研修の刷新」が求められているのです。

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