コロナ禍において新入社員研修はどうあるべきか

研修

2020年はコロナに始まり、コロナに終わった1年でした。新入社員研修においても同様で、人事担当者は「どうして良いか分からない!」という手探り状態で新入社員研修を行ったのではないでしょうか。2021年入社の新入社員研修ももうすぐそこ。記事では、2020年の新入社員研修の実態、コロナ禍において新入社員研修はどうあるべきかについて解説します。

6割の企業が研修の延期や中止を検討

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2020年の新入社員研修の実施状況はどのようなものだったのでしょうか?HR総研の調査によると、研修中止を検討している企業は、企業規模を問わず5%以下と低い数字でした。たとえ新型コロナウイルス感染防止のためでも、社会人になりたての新入社員をほったらかしにすることなく、研修をしてあげたいと考える企業が多いことが分かります。

また、新入社員研修の短縮や変更を検討した企業はどのくらいあったのでしょうか?HR総研の調査では、従業員1,000人以上の大企業で60%、301~1,000人未満の企業で53%、300人以下の企業で37%の割合で新入社員研修の短縮や変更を検討したことが分かっています。大企業の6割で新入社員研修の短縮や中止を検討しましたが、企業規模が小さくなればなるほど、従来通りの研修で進めようとしていたことが分かります。

オンライン研修が「登場」した

新型コロナウイルスに感染しないためには、人と人との接触を防止することが大切ですよね。だからといって、新入社員研修を中止にする企業が少ないのは、HR総研の調査でも明らか。では、企業はどうしたら良いのか。

新型コロナウイルスの感染を防ぎつつ行う研修として、オンライン研修が登場しました。正確にいえば、新型コロナウイルス発生以前からオンライン研修は登場していたのですが、オフライン研修が当たり前だったので、オンライン研修が市民権を得ていませんでした。しかし、企業がWithコロナの観点で経営を進めていく中で、オンライン研修が「登場」し、企業に注目されたといえるでしょう。

それでは、オンライン研修にはメリットばかりで、デメリットはないのでしょうか?あるいは、従来のオフライン研修のメリット・デメリットとは…?まずはオフライン研修のメリット・デメリットから確認します。

オフライン研修のメリット・デメリット

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オフライン研修のメリットとデメリットを見ていきましょう。それぞれの違いを確認します。

オフライン研修のメリット

オフライン研修には「自由なアイディアが生まれやすい」「刺激になる」「色々なワークができる」などのメリットがあります。

オフライン研修の特徴としては、新入社員同士が対面で話し合い、共同でワークができるというものが挙げられます。同じ空間、同じ時間の中で話し合うのですから自由な発想で考え、アイディアも生まれやすいといえます。

異なる価値観やロジックを元に意見を述べる新入社員同士が対面することで、「こんな考え方があるのか!」と刺激にもなります。

また、目の前に人がいる状況下では色々なワークができることがメリットです。インターネットやプログラミングを使ったワーク、模造紙やホワイトボードを使ったワーク、ボールや紙を使ったワークなど、どんなワークでも制限がありません。

オフライン研修のデメリット

オフライン研修のデメリットには「会場費や交通費がかかる」「コロナ禍に対応しにくい」などがあります。

オフライン研修では新入社員が1つの会場に集まるので、交通費がかかります。全国から新入社員を採用すれば宿泊費もかかるでしょう。また、社外の会場を借りて研修を行うなら、会場費も発生します。新入社員の人数が多ければ多いほど、会場費・交通費は大きくかかるのです。

そして、オフライン研修のデメリットにはコロナ禍に対応しにくいというものがあります。

新入社員同士が顔を合わせるので、企業は、新型コロナウイルス感染防止の観点から「受講生を集めづらい」と考えます。新入社員にも、「コロナなのに集合研修をやるの?」「コロナ対策していないのかな?」「せっかく入った会社だけど、大丈夫かな?」などの不安を与えることになります。

もっとも、新型コロナウイルス感染防止を徹底すれば、オフライン研修ができないわけではありません。マスクやアルコール消毒の常備、会食の禁止、ソーシャルディスタンスの実施などを通じて、オフライン研修を実行できなくはありません。私がオフライン研修のデメリットとして「コロナ禍に対応できない」ではなく、「コロナ禍に対応しにくい」と書いたのもそのためです。対応しようと思えば、できないわけではないのです。

ただ、万全を期したとしても、相手は目に見えないウイルス。いつ、どこで感染するのかは不透明です。「会食の禁止」を破って会食する新入社員が出れば、感染するかもしれませんよね。そして、もしオフライン研修を行って感染者が発生したときに、「新入社員研修をオフラインでやっていたからだ」というイメージがついたらどうでしょう?

イメージは、事実がそうでなかったとしても、簡単につきます。例えば、マスコミの報道、ステークホルダー(顧客、取引先、株主、社員、新卒の学生)などへの情報提供によって「あのA社という会社でコロナが出た。実は、A社では新入社員研修をオフラインでやっていたらしいよ」というイメージがつけば、事実は関係なくなります。

オンライン研修のメリット・デメリット

キャリア採用のメリット

オンライン研修のメリットとデメリットを見ていきましょう。それぞれの違いを確認します。

オンライン研修のメリット

オンライン研修のメリットには「会場費や交通費がかからない」「受講生の習熟度が分かる」「コロナ禍に対応できる」などがあります。

オンライン研修は、会社や自宅で研修を受講することができます。そのため、会場費も交通費も不要です。そしてオンライン研修にはeラーニングがありますが、eラーニングは「学習をどの程度進めているのか」「新入社員がどのくらい理解しているのか」などを人事が把握できます。

そして、コロナ禍におけるオンライン研修のメリットにはコロナ禍に対応できるということがあります。

新型コロナウイルス感染防止のためには、人と人との接触を防止することが重要。オンライン研修では、新入社員同士、人事部、あるいは社内・社外講師とも接触しませんから、新型コロナウイルス感染を防止しつつ、新入社員へ研修を実施することができるのです。

どれほど優秀な大学を卒業した新入社員であっても、社会人としては1年生です。ビジネスマナーやビジネススキルなどは、知識として知ってはいても、「実際にやってみて」といわれるとできないことが多いものです。ですから新入社員には研修を実施しないといけないのですが、コロナも怖い。そこでオンライン研修のメリットが際立ってくるのです。

オンライン研修のデメリット

オンライン研修のデメリットには「一方通行になりがち」「効果が薄い」「インターネット環境が必要」などがあります。

オンライン研修はパソコンやスマホなどの画面を見ながらの研修になります。そのため、どうしても講師が一方的に話すスタイルの研修になってしまうのです。一方通行の研修では新入社員が飽きてしまいますし、集中力も続かず、新入社員同士の緊張感も生まれません。一方通行になると研修の効果が薄いところもデメリットです。

また、オンライン研修では、新入社員・講師の双方に研修を実施できるインターネット環境が必要です。制限のあるインターネット環境では、新入社員が「講師の声を聞き取れない」「ディスカッションに参加できない」などのトラブルが生じます。講師側としても、インターネット環境をはじめ、マイク、バウンダリーマイク、スピーカーなどのオンライン研修用の設備を用意する必要があります。

コロナ禍の新入社員研修では「アウトプット」を強化しよう

オフライン研修、オンライン研修それぞれのメリット・デメリットを見てきました。既に2020年度の新入社員研修を乗り越えてきた企業にとっては、理解して頂ける内容だと思われます。

それでは、コロナ禍において新入社員研修はどうあるべきでしょうか?

オンライン研修を実施しつつ、新入社員のアウトプットを強化しましょう。ここで申し上げているアウトプットとは、行動のアウトプットのことです。つまり理解したことを他者に説明する言語のアウトプットもあれば、理解したことを行動で示す行動のアウトプットもあるということで、コロナ禍の新入社員で重視すべきなのは行動のアウトプットです。

オンライン研修ではインプットを重視しがちです。しかし、eラーニングや講師が一方的に講義するだけの研修では、研修の効果が薄いです。特に、社会人としての働き方を理解していない新入社員は、「報連相が大事だ」「PDCAはこう回す」などと説明したところで、言語のアウトプットはできても、行動のアウトプットには繋がりません。

ではどうしたら良いかというと、演習や演習の振り返りの中で、社内講師が新入社員の行動を批判し、改善に繋げていくことでアウトプットの強化となります。演習の中で報連相を実演させます(臨場感を出すため、演習はケーススタディが良いでしょう)。うまくできていなければ、講師が指摘し、改善を促すのです。

そして演習の振り返りの中では、新入社員同士で「できたこと」「できなかったこと」を話させます。話し合いに講師が介入し、「事前の報連相が抜けていたよ」「結論から話しておらず、背景の説明ばかりしていたよ」などと具体的に行動面の弱点を指摘していくのです。そうすれば、最初は失敗ばかりの新入社員も気づきや学びを得ていきます。

同じテーマの演習は、形を変えて行うことで、行動のアウトプットを強化しましょう。報連相のテーマであれば、1度、うまくできなかったことに気づいて終わりではダメです。何度か、異なるスタイルの演習を盛り込んで、失敗もしたけれど、徐々にできるようになったという成功体験を積ませる必要があります。

まとめ

コロナ禍の新入社員研修は、オンライン研修にシフトせざるを得ません。しかし、オンライン研修では「一方通行になりがち」「効果が薄い」などのデメリットがありますので、デメリットを解消するような工夫が必要。行動のアウトプットを強化できる研修設計や運営が求められます。

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