ジョブローテーションとは?メリット・デメリット、成功事例5選を紹介

2020年11月17日

ジョブローテーションとは、定期的に職場や仕事を変更する人事制度のこと。日本企業では、ジョブローテーションを通じて人材育成をしています。ジョブローテーションの目的、メリット・デメリット、成功事例5選を紹介します。

ジョブローテーションとは?

ジョブローテーションとは

ジョブローテーションとは定期的に職場や仕事を変更する人事制度のことをいいます。ジョブローテーションは単なる配置転換ではなく、明確な人事戦略の元に人材の職場や仕事内容を異動させる仕組みです。ジョブローテーションは企業から指示されるものの他、次の種類があります。

・自己申告制度

・社内公募制度

・社内FA制度

ジョブローテーションの目的やジョブローテーションの導入企業の割合を見ていきましょう。

ジョブローテーションの目的

ジョブローテーションの目的は人材育成です。企業には「当社の社員にはこうなって欲しい!」という願いがあると思います。こうなって欲しいというのは、企業が考える優秀な人材像のこと。優秀な人材になるためには、様々な職種を経験して、職場も変わっていく必要があります。

人材育成を目指したジョブローテーションという考えは、日本企業独特といって良いかもしれません。ジョブローテーションの目的に人材育成があるのは、日本企業では人材をジェネラリストとして育てたいという考えがあるから。欧米ではジョブ型と呼ばれる人事制度を採用していて、人材の成長は仕事にひもづくと考えています。

つまり、欧米では人材をスペシャリストとして捉えますが、日本企業ではジェネラリストとして捉えるという違いがあるということです。日本企業ではジョブローテーションの目的が人材育成となっているのは、欧米と日本との人事制度の違いがあるといえるでしょう。

ジョブローテーションを導入している企業はどれくらいか

ジョブローテーションを導入している企業の割合を調べてみましょう。

独立行政法人労働政策研究・研修機構「企業における転勤の実態に関する調査」のデータが参考になります(平成29年2月)。

http://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/top/hyouka/k_40/pdf/s4_1.pdf

調査によると、正社員1,000人以上の規模の企業では、ジョブローテーションの実施率は70%を超えています。続いて500~1,000人未満の企業では57.2%。300~500人未満の企業では51.3%。300人未満の中小企業での実施率は37%程度に留まっています。

企業規模の大きさに比例してジョブローテーションの実施率が増減することが分かりますね。中小企業ではジョブローテーションしようにも人材が少なくて実施できないという事情もありそうです。

ジョブローテーションのメリット

メリット

ジョブローテーションのメリットを見ていきましょう。

会社が望む人材育成に活用できる

メリットの1つは、企業が望む人材を育てることができるというもの。

ジョブローテーションの目的のところでも触れましたが、「当社の社員にはこうなって欲しい!」と企業は思っています。例えば企業が社員に求める人材像として「数字に強く、胆力のあるビジネスパーソン」があるとします。

経理部のA子さんは数字に強い人材でした。人材像が「数字に強く、胆力のあるビジネスパーソン」なので、企業はA子さんの数字の強さを活かして、営業部でも活躍してもらおうと考えました。そこでジョブローテーションを行い、A子さんを営業部に配属。結果、A子さんは顧客の財務状態や経営戦略をしっかり分析して提案に繋げていました。

ジョブローテーションのおかげで、数字の強さを経理部だけで活かすのではなく他部署に異動して活かせば、本人の成長になるのはもちろん、企業の強みにもなるでしょう。

適材適所の配置に使える

ジョブローテーションを行うと適材適所の配置にも使えます。例を用いて説明しますね。

A子さんの例でいえば、A子さんは経理部に配属されたので企業との折衝は行いません。でも、社内の人材とのやり取りを見ていると、他部署の人間にも意思をはっきり伝えたり、一方では他者の意見をしっかり傾聴できたりと、対人折衝での強みがあることが分かりました。

対人折衝での強みがあることから、「A子さんは営業でも活躍できるんじゃないか?」と人事部は考え、A子さんに営業に異動してもらいました。結果、彼女は数字に強い能力と対人折衝力を活かして営業でも活躍しました。

ジョブローテーションによって、社員に職場や仕事を経験してもらうことで、人材の強みや適性が見えてくるようになります。ジョブローテーションは適材適所の配置に活用できるという訳です。

社内のコミュニケーションが良くなる

ジョブローテーションすれば、社内のコミュニケーションが良くなります。

経理部から営業部に異動したA子さんは、営業部に移ったことで社内の人脈が広がります。経理部の人員が5人、営業部が50人だとしたら、10倍もの人脈の広がりができることになりますね。

もちろん、人脈を活かせるかどうかは本人次第になりますが、物理的には多くの人と接することになるため、コミュニケーションが良くなりやすい環境をつくれます。

ジョブローテーションのデメリット

ジョブローテーションのデメリット

ジョブローテーションのデメリットを紹介します。

スペシャリストの育成には向かない

ジョブローテーションは、ジェネラリストを育成する日本企業が活用する人事制度。なので、スペシャリストの育成には不向きです。

いくら対人折衝力が高いA子さんだって、本当は「経理としての能力を高めたい!」「経理のスペシャリストになりたい!」と思っているかもしれないじゃないですか。でも、ジョブローテーションによって営業に異動させられたとしたら、「当社では経理のスペシャリストになれない」と思われて、最悪、退職されてしまうかもしれないですね。

あとは、企業としてスペシャリストが求められている時に、ジョブローテーションをやっていたら人材が育たなくなってしまいます。企業の経営環境が変わって、専門の仕事に特化した人材を多数育成しなくちゃいけないのに、経理も営業もやれる人材を育てる意味が果たしてあるかどうか…。自社のPEST分析もやりながら、当社には、これからどんな人材が必要かを把握して、ジョブローテーションが合っているかどうかも考えましょう。

希望しない仕事もやらなくてはならない

ジョブローテーションでは希望しない仕事もやらなくてはならないケースもあります。希望しない仕事とは、たとえば以下のような例があります。

・経理のスペシャリストになりたいのに違う仕事に回された

・人事なのに総務の仕事も担当することになった

・転勤したくないのに転勤させられた

人材育成の観点でいえば仕方ないことではあるのですが、社員本人が嫌がっている場合、社員のモチベーションが下がったり、最悪は退職することもあり得ます。

ジョブローテーションの成功事例5選

パラキャリ画像

ジョブローテーションの成功事例を5つ紹介します。

1.ヤマト運輸

ヤマト運輸では新入社員に対してジョブローテーションを実施しています。新入社員は入社2年間に営業や配送業務などを経験していきます。わずか2年間の間でジョブローテーションすることで、スピーディに人材育成することが可能。また、運送業の現場にたずさわることで、ヤマト運輸の全体を把握することができるようになります。2年後の本配属時には様々な経験を積んだ若手社員として活躍します。

2.双日

双日は、新卒時から10年間という長いスパンでジョブローテーションを実施。10年間にわたってジョブローテーションを継続していくことで、人材育成を徹底して行い、戦力となる人材を育成することに繋がります。

3.ドリコム

ドリコムは社会人交換留学というジョブローテーション制度があります。交換留学なので、社内ではなく社外に人材を留学させることが特徴。社内では気づけなかった新しい視点を知ることで、人材育成に繋げることができます。

4.電通

広告代理店の電通では自己申告制を認めており、「異動したい」と申し出ることでジョブローテーションすることができます。もちろん社員の全ての希望を受容する訳ではないのですが、電通の方でもジョブローテーションを人材育成の観点で重要視しているため、自己申告を制度化しているのです。

5.三井ホーム

三井ホームは、総合職に対して将来の幹部候補育成のためにジョブローテーションを活用することにしています。入社前からジョブローテーションを活用することを明言しており、工事現場経験者から営業に異動するような事例もあります。

まとめ

ジョブローテーションは人材育成を目的とした人事戦略です。ジェネラリストを育成する日本企業では長く根付いてきました。職場、仕事内容を問わず経験し、「社員にはこうなって欲しい!」という企業の願いが人材育成に繋がっていきます。

Follow me!