人事評価は絶対評価と相対評価のどちらが良い?

こんにちは。人事コンサルタントのヤマザキエリオです。今回は絶対評価と相対評価を解説していきます。私が企業の人事制度をご支援する際には、絶対評価をおすすめすることが多くなってきています。絶対評価のメリット、デメリットを踏まえながら絶対評価をおすすめしている理由を感じ取って頂ければと思います!

人事評価には絶対評価と相対評価の2つがある


絶対評価記事画像

人事評価には絶対評価と相対評価の2つの評価方法があります。2つの評価方法にはメリット・デメリットがあり、どちらが優れているとは一概に言えません。ただし、社員の評価の納得性、社員の人材育成を踏まえると絶対評価によって人事評価を構築した方が良さそうです。

なぜ相対評価に比べて絶対評価を採用すべきなのか、絶対評価が選ばれるようになった理由、相対評価や絶対評価のメリット・デメリットを踏まえて解説していきたいと思います。

絶対評価とは?

絶対評価記事画像

絶対評価は、社員個人について特定の基準に基づいて評価する人材評価の手法です。特定の基準とは目標達成度や成績、能力、コンピテンシー(高業績者の行動特性)など様々な基準があります。

例えば目標達成度によって社員を評価すれば、社員は目標が達成できたか否かで評価されることになります。目標の達成度が100%なら標準のB評価、それを上回る120%なら高い評価の獲得などと、目標達成度に応じて評価されます。

目標には数字で表せる定量目標の他、数字で表せない定性目標などがあります。どちらを採用するかは部署に応じて決めることになるでしょう。

営業パーソンなら受注額に応じた絶対評価もできます。これは成績による評価で、上期に3,000万円の受注額を達成できたらA評価、1,500万円の受注額ならB評価などというように決めていきます。

絶対評価は他者と比較しない

絶対評価は評価基準に沿って社員1人1人を評価していきます。そのため、他者と比較して評価を決めることはしません。つまり、「Xさんは今期がんばったけれど、Yさんはもっとがんばったな。だからXさんはBで、YさんはA評価だ」などという評価はしないということです。他者と比較しないからですね。

また、評価された人の多寡に応じて、人数を調整することもしません。つまり、極端な話、メンバー全員が高評価だったり低評価だったりすることもあり得ます。

例えば、営業部のメンバーが全員、予算の3,000万円を受注したとします。3,000万円の成績はA評価だとするなら、全員がA評価ということになります。

もちろん、実際には、成績だけで評価を決めるのではなく、個人の能力や行動を見て評価を決めていくので、全員が同じ評価になることは少ないと思います。ただ、理論上は全員高評価だったり、低評価だったりすることもあり得るということ。それが絶対評価です。

このように、絶対評価は社員個人の目標達成度、成績、能力、コンピテンシーなどについて評価していく仕組みです。

相対評価とは?

絶対評価記事画像

では、反対に相対評価とはどのような評価方法なのでしょうか。相対評価とは、他者と比較して評価を決めていく評価の仕組みです。

例えば、上司であるあなたが、部下Aさんを相対評価で評価したい場合。部下にはA・B・C・D・Eさんの5人がいるとします。この時、絶対評価ではAさん個人を評価しましたが、相対評価ではB・C・D・Eさんと比較して評価することになります。

つまり、Aさんを評価する時には、他の4人と比較して評価する訳です。それが相対評価です。

相対評価では評価について割合を決める

相対評価では評価の枠組みについて割合を決めます。例えば、S評価:5%、A評価:10%、B評価:40%、C評価:30%、D評価:10%、E評価:5%というように割合を設定します。その中で他者と比較して評価を割り振っていくイメージです。

絶対評価のメリット

絶対評価記事画像

絶対評価のメリットは、評価基準に基づいて社員個人を評価するという、絶対評価の仕組みそのものにあります。すなわち、社員個人の目標達成度、成績、能力、コンピテンシーなど具体的な評価基準に基づいて評価することで、なぜ評価されたかが分かります。

それゆえに社員は評価に納得感があります。また、上司としても、評価結果や評価理由に基づき、部下を育成することもできるなどのメリットがあります。メリットの詳細を見ていきましょう。

評価の透明性

絶対評価で評価された社員は、納得感を持つでしょう。それは、「なぜB評価なの?」ということの理由が明確だからです!

なぜB評価なのかが分からない状態だと、評価結果を受け取っても社員は何とも思いません。賞与額を確かめるだけになってしまいますね。「ああ、今回も前回同様に70万円だったか」と感じるだけに過ぎません。

経営学者の守島基博(学習院大学副学長)氏は、『人材マネジメント入門』(日経文庫)の中で、なぜ企業では人事評価を行うのかという問いに対して、次のように語っています。

「従業員の能力や貢献度の格差を明確にして、それに応じた処遇をするため」と答えたとしたら、人材マネジャーとしては失格です。

単に処遇をするためということでは、人材マネジャーとしては失格ということです。でもこれは人材部門に限らず、評価をするマネジャー全般に言えることでしょう。 

評価は、単に処遇をするためではなく、なぜこの評価なのかを部下に納得してもらい、その上で課題を明確にして、課題を改善していくことが重要です。そして部下自身が成長していく必要があります。そのためにも、評価の透明性は重要なポイントになります。

評価の透明性を担保することで人材育成に繋がる

評価の透明性が担保されれば、評価の理由について部下に納得感を持たせられます。それにより、部下は、「私のこういった行動が原因で低い評価になった」とか、「自分にとっては難易度の高い目標を達成したことで高い評価になった」という評価の感想を持つようになります。結果、部下は評価に納得感を持ちます。

そして、評価が透明性であるために、上司は、改善点や更に伸ばして欲しい点などを部下に伝えることができるんですね。

部下の改善すべき行動、伸ばして欲しい行動、あるいは伸ばすべき能力でも良いと思います。

「君の個人プレーの営業スタイルではなかなか数字が取れないよ。今後はもっと先輩や同僚と情報交換をして、受注に結び付けて欲しい」

「君の積極的な発言のお陰で会議が生産性の高いものになっている。引き続き継続して欲しい」

以上のような感じで、評価理由と結び付けて指導された部下はどう感じるでしょうか。改善すべき行動には耳の痛いところもあると思いますが、明確に言われているので行動を改めるのではないでしょうか。また、問題点を指摘され、自発的に改善を促されれば成長にも繋がりますよね。そういう点で、絶対評価における「評価の透明性」は人材育成に繋がるんです。

絶対評価のデメリット

絶対評価記事画像

絶対評価のデメリットは、評価者の能力に依存しがちなために評価のバランスを欠くことが挙げられます。

評価者の能力に左右される

絶対評価のデメリットは評価者の能力に左右されるということ。評価者が評価する能力をしっかり持っていないと、評価の理由付けが明確でも部下は納得しません。

部下に納得感を持たせることが絶対評価のメリットだったのに矛盾していますよね。

評価者が能力を持っていないとは、例えばこんな場合です。

上司「ヤマザキさん。今回の評価はB評価だよ。目標達成100%だからBだね」

ヤマザキ「そうおっしゃられても・・・私はBという評価結果に納得できません。今回の目標は難易度が高かったのですが、それを考慮して頂いたのですか?」

目標達成すれば良いというものではありません。目標のレベルも見ておかないといけません。しかし評価者の能力が低いとそこまで見極めることができないんです。通り一遍の評価方法を踏むだけで評価した気になってしまいます。

相対評価は他者と比較して評価するので、絶対評価のように評価者に依存しません。絶対評価は評価者の評価能力がダイレクトに評価結果に表れてくるのがデメリットです。したがって、評価者の評価レベルを上げることが必要であり、こういった点が絶対評価の運用に難しさを感じるところかもしれないですね。

ただ、デメリットもメリットの裏返しだなと思いますね。というのは、評価者の評価レベルを上げることはマネジメントレベルを上げることにも繋がるからです。

評価基準の設定が難しい

絶対評価のデメリットには、評価基準の設定が難しい点も挙げられます。

評価基準には目標達成度、成績、コンピテンシー、能力といったものがあると言いました。成績は分かりやすいのですが、定量化できない業務の場合は使えません。そうなると、成績以外の項目を基準にする必要があります。

目標達成度は評価者のレベルを上げることだけでなく、目標設定レベルも全社的に合わせなければならないです。社員に等級というものがある場合、リーダークラスの人と若手クラスの人とが同じようなレベルの目標設定ではダメですよ。そういった等級ごとのレベル合わせをするのも必要になります。人事評価制度の運用面での難しさがありますね。

相対評価のメリット

絶対評価記事画像

相対評価のメリットは、評価者のレベルが低くても運用できる点です。他者との比較で評価できるのですから、評価者の負担が大きくないんですね。

あと、他者との比較をするので全体のバランスが取れるのも相対評価のメリットの1つです。

尚、相対評価では競争原理が働くという記事を見かけますが、私は、この点は疑問符をつけます。確かに相対評価は他者との比較で評価されるので、皆が良い評価を取ろうと行動するように見えます。

でも相対評価は社員個人をきっちり評価しないので、行動するためのモチベーションに繋がらないんですよね。自分が90点の成績を挙げても他のメンバーが全員100点だったら、自分の成績は他の人より下がる訳ですよ。だから、どれだけがんばっても他者との比較になるので、「せっかく90点を取ったのに他のメンバーが100点だったせいでB評価になっちゃった。次は適当にやろう」となり得ます。

相対評価のデメリット

絶対評価記事画像

相対評価のデメリットは、評価理由が合理的でないという点です。相対評価は他者との相対比較によって評価します。集団内での個人を評価をするということです。

また、相対評価は相対比較ですから、例えば他のメンバーの成績に負ければ、自分の評価が思ったほど上がらないこともあり得る訳です。部下にとっては非合理的な評価をされるというのも、相対評価のデメリットと言えます。

また、評価者のマネジメントレベルが上がりにくいというのも、相対評価のデメリットに挙げたいと思います。すなわち、相対比較で評価していけるのですから、部下個人をしっかり見なくても良い訳ですよ。となると評価者自身がなぜこの部下を評価したのかが不明瞭となります。

まあ、人事評価制度にかかわらず「私は部下個人を見る」という評価者であれば良いですが、そういう人ばかりではないです。

人事評価制度では「絶対評価」を選びたい

絶対評価記事画像

最終的な結論を言います。人事評価では絶対評価を選んで下さい。理由は以下の通りです。

1.絶対評価では社員個人を評価できる

絶対評価では社員個人を評価できます。相対評価ではできません。この点が絶対評価をおすすめしたい理由です。

2.人材育成に繋げることができる

社員個人を評価すれば、評価の透明性が高まります。そうすると、社員個人が評価理由に納得感を持ち、公平な評価がされていると思います。そして、上司が評価理由に基づいて部下を指導することで、良い点は更に伸ばし、課題を明確にして改善するように促せる点ですね。評価によって人材育成に繋げることができるんですね。

3.評価者のマネジメントレベルが上がり、組織力の向上に繋げることができる

絶対評価にすれば、評価者の評価レベルを高めないといけません。もし高められれば、マネジメントレベルが上がります。そうなると、組織力の向上に繋げることができます。ただし、評価者のレベルを高めるためには人事担当者、評価者自身が苦労しないといけません。

ただし、そういった苦労を乗り越えれば、絶対評価は組織力の向上に繋がることでしょう。透明性の高い評価は人材育成に繋がりますから。

Follow me!

人事

Posted by erinanase